近年エネルギー問題が注目されるなか、自動車、コージェネレーション、そして携帯機器などへ燃料電池の利用が期待されていますが、実は燃料電池の歴史は古く、発見は約200年前にさかのぼることができます。
■燃料電池の原理の発見
1801年にナトリウム、カリウムの発見者であるデービー卿(英国)によって燃料として固体の炭素を用いる燃料電池の原理が発見されました。デービーはアーク式照明の原理の発見者としても有名で、2000個のボルタ電池をつなぎアーク放電の実験を行いました。これが電気を使った照明の始まりとも言われています。この頃、日本では江戸時代でした。
■燃料電池の実験に成功
1839年にウィリアムグローブ卿(英国)によって水の電気分解の逆反応で発電ができることが公開実験によって証明されました。 しかしながら、この燃料電池は発生する電流が小さく、この時代には実用化の進んだ蒸気機関や内燃機関が存在したため実用化に向けての研究は進みませんでした。
■アルカリ型燃料電池の登場
約1世紀の間大きな進展のなかった燃料電池ですが、ベーコン(英国)が試作機により5kWの発電が可能なことを実証し、1952年に燃料電池の特許を取得しました。これはアルカリ型燃料電池の基礎となっています。
■宇宙開発への利用

長い間、蒸気機関やガソリンエンジンの利用が注目され燃料電池は日の目をみることはありませんでしたが、1961年から米国NASAで宇宙開発の利用を目的に燃料電池の研究が開始され、1965年米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社製の固体高分子型燃料電池がジェミニ5号に搭載されました。これが燃料電池の実用化第一号となりました。その後燃料電池は、人類で始めて月面に着陸した米国宇宙船アポロ11号にも搭載され、今日のスペースシャトル(アルカリ型)も搭載しています。
■身近な生活への利用
米国では宇宙開発の他に、一般利用へ向けて電力会社やガス会社が主体となってリン酸形(PAFC)と呼ばれる大型燃料電池の開発も進められました。日本では1981年、石油代替・省エネルギー技術の開発を目指して始まった通産省の「ムーンライト計画」(93年から「ニューサンシャイン計画」)に燃料電池の開発が組み込まれ、燃料電池の研究開発が本格化しました。
■固体高分子型燃料電池の登場
1987年バラード社(カナダ)によりフッ素系イオン交換樹脂膜を用いた固体高分子型燃料電池が開発されたことをきっかけに、自動車、家庭用コージェネレーション、携帯機器を目的とした燃料電池の開発が非常に盛んになります。初期の固体高分子型燃料電池は耐久性に問題があり、コストが非常にかかるなど、問題がありましたが、優れた耐久性を持つ素材の開発によって小型で低コストな燃料電池の生産が可能になり、燃料電池の開発が一気に進み現在に至るようになりました。
■最近の燃料電池の動き
最近の燃料電池の動きを見ると、自動車への利用では、2002年、自動車メーカー(トヨタ、ホンダ)が世界初の商用燃料電池自動車の限定販売開始されたり、携帯機器への利用では、

1回のメタノール充填でノート型パソコンが5時間駆動する燃料電池が開発される(東芝)など、燃料電池実用化がすすんでいることが分かります。 数年後に我々の身の回りの物に燃料電池が当たり前のように搭載され、コンビニエンスストアでは乾電池のかわりに燃料電池が売られているかもしれません。今後燃料電池はますます身近な存在になってくるでしょう。