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化合物半導体薄膜太陽電池の最新情報(番外編)

「当記事はサイエンスエキスポ2011公式ホームページの”フォーラム座長・講師に聞く!”の転載です。
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−−レーザーディスプレ−という言葉自体一般には浸透していません。いつ頃から研究が始まったのですか
 「結構古く、今から約45年前に研究が始まりました。最初に注目されたのが1970年の大阪万博。世界最大のハイビジョンテレビとして公開されました。しかし、非常に効率が悪く、スペックルノイズといわれる斑点模様が現れ、実用化に至りませんでした。研究開発が活発になり、急速に進展したのは、90年代に半導体レーザーが登場してからです。レーザー光源の性能が飛躍的に向上しここ数年、レーザーTV、携帯プロジェクター、眼鏡タイプのヘッドマウントディスプレ−など実用化が進んでいます」

−−光源といえば省エネ対策としてLEDが一気に普及しました。レーザーの特徴と利点は
 「まず、LEDに比べて色再現範囲が広いことです。人間の眼で見える自然界の色を忠実に再現できるので、従来のTVよりきれいに見えます。2つ目は、点光源なので必要なところにだけ必要な光を効率よく届けることができます。つまり、消費電力を低減できるので低炭素社会に適しています。50インチのレーザーTVなら光源が10ワットの電力で済みますが、従来型TVだと70ワットを必要とします。3つ目は、光源が小さいので装置を小型化できること。TVのように大型まで多岐にわたって応用できるのが特徴といえます」

−−これまでどのような応用商品が開発されましたか
「昨年8月、三菱電機から75インチのレーザーTVが国内で発売されました。背面から光を投射するもので、液晶パネルのバックライトとしてレーザー液晶TVも製品化が検討されています。市場が大きく期待されますが、まだ価格が若干高いかもしれません。レーザーを用いたホログラフィックディスプレー(3D)も可能で、特殊な眼鏡を必要とせず、見る位置を変えても自然な立体感があります」
「プロジェクターでは、携帯電話などに搭載する超小型のものから、ホームシアターにも利用できる超大型プロジェクターまで製品化されています。ユニークなのはレーザーを搭載したバーチャルキーボード。英LBO社はポケットパソコンも開発しました。このほかヘッドマウントディスプレーも情報表示端末として注目されています。レーザーを網膜に直接描画する仕組みで立体映像が容易なうえ、他人からのぞきこまれる心配がない。半透過なので、動きながらでも見えるという画期的な商品です」

−−レーザーディスプレー技術を応用した商品が普及するには、量産化によるコストダウンが課題ですね
 「光源の高価なのには理由があります。レーザーディスプレーを構成する赤色と青色の半導体レーザーはすでに実用化されていますが、緑色半導体レーザーは昨年ようやくサンプルが出荷された段階。従来は赤外光の波長変換による緑色レーザーを搭載していたため、価格が3倍に跳ね上がった。緑色半導体レーザーの量産化が可能になれば、機器の製造コストは大幅に低減されます」
 「もうひとつの課題は、光源を電気に変える光変換効率を現状の数倍にすること。レーザーTVの場合、いまは40ワットの電力が必要ですが、既存デバイスに圧倒的に勝つには、出力10ワットで済むクラスまで効率を高めないといけません」


−−コストが低減されると、アプリケーションはさらに広がる
 「車のフロントガラスにレーザーを照射し、メーターや警告を表示するヘッドアップディスプレーのほか、路上の標識や前方の情報をカメラで検知して投射するレーザーヘッドライトも研究されています。安全性が確保でき、電気自動車にも搭載できます。また、海中プラントや植物工場など農業、水産業への応用も期待されています。ディスプレーの次の段階としてレーザー照明も視野に入っています」

−−今後の展望は
「2022年のレーザーディスプレー装置関連市場は、86兆円規模に膨らむと予測されます。この2年でLED時代が到来しましたが、5年後にレーザーの時代に変わり、10年後には既存映像機器市場の約3割をレーザーが占めるでしょう。携帯レーザー機器は、これまで法律上の規制があり、実用化の障害になっていました。だが、レーザーディスプレー技術専門委員会などが奔走し、昨年末に関連する法規が改正されました。ここにきて緑色半導体レーザーのサンプルが出荷されたことで、商品開発のスピードも加速すると思われます。究極のレーザーの世界が実現すると、蛍光灯もLEDも駆逐されます。11年はその始まりの年。レーザー元年になるでしょう」

 

山本和久氏(やまもと・かずひさ)
大阪大学基礎工学部卒。1981年松下電器産業(現パナソニック)入社。波長変換デバイス、レーザーディスプレーの研究開発に従事。2009年2月同大学光科学センター特任教授、同6月から同センター副センター長。レーザー学会常務理事、雑誌『レーザー研究』副編集委員長、日本光学会レーザーディスプレイ技術研究グループ実行委員長も務める。工学博士。52歳。大阪府出身。


 
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