酸性雨を再現してみよう!
酸性雨はどのようにしてできるのでしょうか?
身近にある物を使って、酸性雨を再現してみましょう。
●酸性雨とは?
酸性雨はpH5.6以下の雨をいいます。なぜ中性のpH7以下を酸性雨といわないかというと、自然の雨水はすでに大気中の二酸化炭素などを吸収して自然の状態でも酸性を示しているからです。
●酸性雨の原因は?
酸性雨の原因は自動車、工場、ゴミ焼却などの排ガスに含まれる「硫黄酸化物」や「窒素酸化物」、「塩化水素」などです。これらが大気中の水や酸素と反応することによって硫酸や硝酸、塩酸などの強酸が生じ、雨を通常よりも強い酸性にするのです。
確かめてみよう!
実際に物を燃やして排ガスを出し、それが水に溶けるとpH値はどうなのるのか?実験してみましょう!
・200mlビーカー …1個
・300mlビーカー …1個
・るつぼ(200mlのビーカーに入るサイズ)…1個
・マッチ
・ビニールテープ
・pH試験紙
1.通常の雨を再現してみよう
①300mlビーカーに冷水(氷水)を入れます。
300mlビーカーの底の汚れや水滴はティッシュなどで拭き
取っておきます。
②200mlビーカーの中にるつぼを入れます。
③マッチに火をつけ、るつぼの中に入れ、冷水の入った300ml
ビーカーを上に載せてフタをします。
④マッチがすべて燃焼したら、300mlビーカーの底についた
水滴をpH試験紙につけ、pHを測定します。
2.酸性雨を再現してみよう
①マッチにビニールテープを少し貼ります。
②上記と同様、ビニールテープを貼ったマッチに火をつけ、
るつぼの中に入れ、300mlビーカーでフタをします。
③マッチが完全に燃焼したら、300mlビーカーの底についた
水滴をpH試験紙につけ、pHを測定します。
結果
マッチを燃焼させるとpHは4あたりを示します。
また、ビニールテープを貼ったマッチを燃焼させるとpHは1あたりを示します。
マッチの燃焼で暖められた空気と水蒸気は上昇し、300mlビーカーの底で冷やされ水滴になります。これは暖められた空気が上昇し、上空で冷やされ、雨粒になる現象と同じです。
この実験では、燃焼によって発生した二酸化炭素がビーカーの底にできた水滴に溶け込みます。通常の雨も、二酸化炭素を溶かし込んでいるので完全な中性ではなく、pH5.6ぐらいの弱い酸性を示します。実験結果はpH4とpH5.6よりも酸性が強くなったのは、燃焼により二酸化炭素濃度が高くなったためです。
ビニールテープ(塩化ビニル)を貼ったマッチを燃やした場合はさらに酸性が強くなります。これは塩化ビニルに炭素、水素、塩素(Cl)が含まれており、燃やすと炭酸ガス、水、塩化水素(HCl)ができるため、酸性が強くなったのです。
※この実験は、広島文教女子大学初等教育科の原田正治先生に教えていただきました。