試薬の調製法(中学校2分野)

実験の準備で手間がかかるのは試薬の調製。計算するのも大変!そんなときに役立つ、試薬の調製法をまとめました。
是非ご活用ください。

試薬名 調製法 使用法
ヨウ素溶液
(ヨウ素ヨウ化カリウム溶液)
水250cm3にヨウ化カリウム1gとヨウ素0.3gを溶かす。
保存:茶色の試薬びんに入れ、暗所で保存する。
デンプンを含むものに加えると、デンプンが青紫色になる。これにより、デンプンの検出ができる。やや分解のすすんだデンプンは、赤紫色を示す。この色は、加熱すると消え、冷やすと再び現れる。
石灰水
Ca(OH)2
水500cm3に水酸化カルシウム(消石灰)50gを入れてよく振り、静置しておいて、その上澄み液を使う。飽和水溶液は約0.17%(約0.023mol/L)である。
保存:試薬びんに入れ、ゴム栓をしておく。
石灰水に二酸化炭素を吹きこむと、炭酸カルシウムCaCO3の白色沈殿ができて、白濁する。これにより、二酸化炭素の検出ができる。
 Ca(OH)2+CO2→CaCO3↓+H2O
5%塩酸
HCl
(1.4mol/L)
市販の濃塩酸(約35%、密度1.18g/cm3)14.1cm3を水100cm3に加える。 うすい塩酸として使用する。
注意:濃塩酸の試薬びん内は、発生した塩化水素ガスのため、加圧状態になっていることがある。びんの栓を開けるときに注意する。
BTB溶液
(ブロモチモールブルー溶液)
(1.4mol/L)
10%エタノール100cm3にBTB粉末0.1gを溶かす。呼吸や光合成の実験では、この液を水で10倍にうすめて0.1%水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加え、弱アルカリ性(青緑色~青色)にして使う。pH7前後の水に加えたとき、緑色を示すように調製する。
保存:茶色の試薬びんに入れ、暗所で保存する。
酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色を示す(変色域はpH6.0~7.6)。
中性または弱アルカリ性にしたBTB溶液に二酸化炭素が溶けると、炭酸ができて液が酸性となり、黄色に変化する。これは、呼吸による二酸化炭素の放出の検証に利用される。呼気を吹きこんで中性か酸性にした液は、二酸化炭素を失うと青色にもどる。これは水草の光合成による二酸化炭素の吸収の検証に利用される。
べネジクト溶液 硫酸銅(結晶)1.7g、クエン酸ナトリウム17.3g、無水炭酸ナトリウム10.0gを蒸留水に溶かし、100cm3にする。 保存:試薬びんに入れ、ゴム栓をしておく。 還元性のある糖(ブドウ糖や麦芽糖など)を含む液に、べネジクト溶液を1、2滴加えて煮沸すると、液中の糖の量により、緑→黄→橙→赤色を示す。加熱後の液を静置すると、黄~赤褐色の沈殿を生じる。これにより、還元糖の検出ができる。
酢酸オルセイン溶液 氷酢酸55cm3をあたためながらこれにオルセイン粉末1gを加えて溶かし、冷やした後、水55cm3を加えてろ過する。
保存:茶色の試薬びんに入れ、暗所で保存する。
酢酸カーミン溶液と同じようにして使用する。細胞の核・染色体が赤紫色に染まる。染色力は酢酸カーミン溶液より強い。
酢酸カーミン溶液 氷酢酸45cm3と水55cm3をビーカーに入れ、加熱しながらカーミン粉末1gを加える。沸騰したら火を止め、さびた鉄くぎを2、3本入れ、冷めてからろ過する。
保存:茶色の試薬びんに入れ、暗所で保存する。
細胞の核・染色体・細胞質を赤く染めるのに用いる。スライドガラスにのせた材料に、この液を1滴たらし、2、3分後にカバーガラスをかけて検鏡する。カバーガラスをかける前に、アルコールランプの炎で少しあたためるとよく染まる。
インジゴカーミン溶液 インジゴカーミン粉末0.1gと炭酸水素ナトリウム0.2gを、水800cm3に溶かしてつくる。ふつう、この液を水で10倍にうすめて使用する。 光合成で発生する酸素の検出に使用する。10倍にうすめた液に、1%亜ニチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイト)水溶液をピペットで少しずつ加えて、液の青色を無色にする。この液に水草を入れて光をあてると、光合成により発生した酸素によって酸化され、液は再び青色になる。
エオシン溶液 70%エタノール100cm3にエオシン粉末1gを溶かす。溶液は緑色。
保存:茶色の試薬びんに入れ、暗所で保存する。
細胞質を赤く染色する。生体染色も可能で、ほおの内側の粘膜の細胞の染色などに使用する。また、70%アルコールで保存したカエルや魚の筋肉をよくほぐし、エオシン溶液をたらすと、横紋が観察できる。
カルノア溶液 エタノール30cm3に氷酢酸10cm3を加えて、混合する。保存液は、これを使用直前に水で5倍にうすめて使用する。 細胞分裂の観察で、根の先端を約1時間この液につけてから水洗いして使うと、染色体がはっきり見えるようになる。保存液は、根・茎などの固定と保存に便利である。
チョークレー溶液 塩化ナトリウム5g、塩化カリウム0.2g、塩化カルシウム0.3gを水500cm3に溶かし、原液として保存する。 アメーバ・ゾウリムシなど、水中の原生動物の培養に使用する。原液を100倍にうすめてペトリ皿に入れ、生の米粒を数個落としておく。これに、微小動物のいる液を少量加えておくと細菌の繁殖とともに、アメーバやゾウリムシなどが繁殖する。
ニュートラルレッド溶液(中性赤溶液) ニュートラルレッド0.1gを水10cm3に溶かしたもの2cm3を、生理食塩水(0.9%食塩水)30cm3に混和する。 原生動物の食胞、細胞質の顆粒、核を赤く染色する。生体に害が少ないので、タマネギの根ののびる様子の観察にも利用できる。
メチレンブルー溶液 95%エタノール30cm3にメチレンブルー0.3gを溶かし、それに水を加えて、100cm3とする。
保存:茶色の試薬びんに入れ、暗所で保存する。
細胞の核、血球、植物の茎の切片、花粉、コウボ菌、菌糸、細菌などを青く染色するのに用いる。細菌やコウボ菌は、スライドガラスにうすくのばすようにして塗りつけ、メチレンブルー溶液を1滴たらして、乾くまでアルコールランプの炎であたためる。その後、水をたらして検鏡する。
参考:啓林館中学校理科指導書